某京大生の研究ラボ

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ひとりぼっちのサボロー。その1

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みなさんはサボローを知っていますか?サボローとは明光義塾のキャラクターで、友達を遊びに誘い、勉強を妨げるキャラとして紹介されています。 そんなサボローをフォーカスして何回かに分けて物語を書いてみます。

 

 

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 一人っ子だったサボローは幼い頃に父親を亡くした。育児に不安を覚えたのか、それ以外の理由があったのか、母親は蒸発した。それ以来サボローは人に裏切られるのを恐れる子になった。


 小学校、中学校では親しい友達はできなかった。「人に裏切られるくらいなら、はじめから関わりなんか持たなければいいんだ。」サボローは心のどこかでそう思っていた。

 

 とは言っても、義務教育の9年間、だれとも話さなかったわけではない。そんなサボローにもクラスメートは気さくに話しかけてくれた。サボローもそれが嫌だったわけではない。それなりに人と付き合い、それなりに遊んだ。しかしそれはただ"それなり"であった。それ以上でもなく、それ以下でもなく。ただ、怖かった。人に期待しなかった。人に抱く期待が大きければ大きいほど、のちに自分が受ける痛みが大きくなると思った。

 サボローは白いカーテンで覆い、その心の部屋をだれにも見せなかった。
 そうして流れる月日を横目に見ながらサボローは高校生になった。

 

高校生になったとて、サボローに変化はない。まるでアスファルトに映る自分の影のように、"それなり"、その4文字ついて離れなかった。
部活には入らなかった。入りたくなかったわけではない。人に裏切られるという怖さがその意思をせき止めていた。

 

 

サボローは高校2年生になった。

 

(つづく)